おつかれさまです。
ヤマヒナです。
我が家になぜかあったヴァイオリン。
おじいちゃんが弾いていて、子供心に「じーちゃんすごい!」と思っていたのですが、どうやら曰く付きのヴァイオリンだったようです。
おじいちゃんのヴァイオリン
私の祖父はなんでもできる人で、書道で個展を開いたり、油絵を描いたり、と思ったら、釣りに連れて行ってくれたり、若いころは猟犬と一緒に狩猟をしていたそうです。
他にもアコーディオンを演奏したり、ピアノを弾いたり。
子供心に、「うちのおじいちゃんはすごいんだ!」と思っていました。
そんな感じだったので、おじいちゃんがヴァイオリンを持っていることに何も疑問に思いませんでした。
おじいちゃんはすごいんだから、ヴァイオリン持ってても普通だよと思っていました。
おじいちゃんが大切にしていたこのヴァイオリンですが、実はさらに昔、とある出来事からおじいちゃんのもとに来たものだったのです。
リュックサックいっぱいの芋
おじいちゃんのお父さん。
私から見たら曾祖父にあたる、ひいおじいちゃんは当時農業をしていたそうです。
当時、というのは第二次世界大戦後です。
食料がなかった時代で、土地を持ち、野菜を育てていたひいおじいちゃんのもとには、着物や家財を持って野菜と交換してほしいという人が良く訪れていたそうです。
そんなある日、一人の男の人が、着物を持って食べ物と交換してほしいと言ってやってきました。
ひいおじいちゃんは、「着物は他の人と交換したものがあるから、気にせず持っていきなさい」と言って芋を渡したそうです。
すると男の人は、着物を受け取ってもらえないならと、他に持っていたヴァイオリンを渡してきました。
ひいおじいちゃんは農家の家にヴァイオリンがあっても使わないからと断ったそうですが、男の人は何も受け取ってもらえないのに自分だけが食べ物をもらうわけにはいかないと言って、どうしてもヴァイオリンを持って帰ろうとしなかったそうです。
仕方なくひいおじいちゃんは、その男の人にリュックサックいっぱいに芋や他の野菜を詰めて渡しました。
そして、「このヴァイオリンは保管しておいておくから、いつでも取りに来てほしい」と言って男の人を見送ったそうです。
誰にも弾かれなかったヴァイオリン
そのヴァイオリンを農業用の倉庫で見つけたのがおじいちゃんでした。
ひいおじいちゃんから話を聞き、預かったまま眠らせていたヴァイオリンを独学で練習をしたそうです。
家族が集まったり、村のお祭りのときに、そのヴァイオリンで演奏会を開いたりしていました。
そんなおじいちゃんが亡くなった後、今は私の母がヴァイオリンを弾く練習をしています。
「弾く練習」なのでほとんど音も出ておらず弾けていません(笑)
母が弾けなくなったら、私がヴァイオリンを練習しようと思っていますが、おじいちゃんのように上手に弾ける気はしません。
今でも調律・メンテナンスしてます
ヴァイオリンケースの当時の物は、破損して処分してしまいましたが、ヴァイオリンは今でもプロにお願いして調律やメンテナンスを行っています。
調律師の方が試しに弾いてくださったヴァイオリンの音色はとても美しく、正直、私の家にこのまま置いておくのはもったいないと思っています。
調律師の方の話では、このヴァイオリンは高級品ではないらしいです。
しかし、音色も美しく、保存状態もいいので「安いけどいいもの」とのことです。
ケースがなくなっているので、売却するとしたら数千円程度になってしまうかもしれないといわれました。
それでも、時代が第2次世界大戦の時代のヴァイオリンなので、「簡単に処分してしまうのはもったいないですよ」とも。
これがうちの家に代々伝わるヴァイオリンです。
さいごに
先日、久しぶりに母親がヴァイオリンを弾いていて、初めてこのヴァイオリンのエピソードを聞きました。
まさか、終戦後に芋と物々交換したものだったとは……
うちの家系は絵を画いたり工作をしたりするのは上手な人が多いのですが、音楽関係はからっきしです。
唯一、音楽の才能もあったのはおじいちゃんでした。
ひいおじいちゃんにヴァイオリンを預けた人は、終戦後にも関わらず国防服(?)というカーキ色の服を着ていたらしく、たぶん軍人さんだったんじゃないかということでした。
預けたというか、本人はもうあげちゃった物として思っていたかもしれません。
でも、元の持ち主さんがどんな方だったのか非常に気になっております。
第2次世界大戦後の曾祖父の代の話なので伝わっているかわかりませんが、家族に「ヴァイオリンと芋を交換した話」が伝わっている方がおられたらご連絡ください。